▼チャプターリスト(目次)
0:00 オープニング
0:21 揖夜神社
2:33 黄泉比良坂
5:27 揖夜神社 摂末社
5:59 黄泉比良坂・池、坂
どうも管理人のヒロリンです。
今週はお盆期間。先祖の霊があの世からこの世に戻り、その霊を供養する大切な期間です。
そんな期間だからこそお届けしたい神秘的な場所が島根県の出雲地方にあります。
それが、「あの世とこの世の境界線」といわれる黄泉比良坂(よもつひらさか)です。
神話の国・島根県の東出雲町。人口約1万人という小さな町に、日本神話で重要な舞台となった黄泉比良坂はあります。
日本神話を描いた「古事記」によると、日本という国を生んだ伊邪那美命(いざなみ:妻)は、火の神・カグツチを生む際に陰部を焼かれて大やけどを負い、その火傷が元で命を落としてしまいます。夫である伊邪那岐命(いざなぎ:夫)は出雲国(島根県)と伯耆国(鳥取県)との間にある比婆山に伊邪那美を葬るのですが、死後も恋しく思って黄泉の国へ伊邪那美を迎えにいきます。
伊邪那岐(夫)は黄泉の国への入り口の扉を挟んで伊邪那美(妻)に日本の国造りが終わっていないことを告げて、黄泉の国から現世へ戻ってきてくれないかと問います。
伊邪那岐(夫)の問いかけに対して、伊邪那美(妻)は「既に黄泉の国の食事を口にしてしまい、現世に戻るためには黄泉の国の神様にお伺いを立てないといけない。そして、そのお伺いが終わるまでは決して私の姿を見てはいけない」と言います。
伊邪那美(妻)に会いたい伊邪那岐(夫)はこれを了承。黄泉比良坂の入り口で、長い間待ち続けましたが、いつまで経っても伊邪那美(妻)から動きがありません。痺れを切らした伊邪那岐(夫)は妻との約束を破って黄泉の国へと入り、伊邪那美(妻)を探します。
そして、伊邪那岐(夫)は、全身が腐乱し、体中から蛆虫が湧き、八柱の雷神を生む伊邪那美(妻)の姿を発見するのです。
見てはならないといったにもかかわらず、自分の腐乱した身体を見られた伊邪那美(妻)は、「私に大恥をかかせたな!」と黄泉の大軍団を伊邪那岐(夫)に差し向けます。
恐ろしくなった伊邪那岐(夫)は慌てて逃げだし、その後を伊邪那美(妻)は黄泉の鬼女・黄泉醜女(よもつしこめ)と共に猛スピードで追いかけます。
ヨモツシコメの気をそらすために桃の実を投げつけ、追っ手をなんとか振り切った伊邪那岐(夫)は、その場に大岩を置いて入り口を塞ぎました。その大岩を挟んで伊邪那美(妻)は伊邪那岐(夫)に話しかけます
伊邪那美(妻)「愛しき夫、伊邪那岐よ!この様な仕打ちを私は忘れはしない。私はあなたの国の人間を一日千人絞め殺しましょう」
それに、伊邪那岐(夫)は応えます
伊邪那岐(夫)「愛しき妻、伊邪那美よ!それでは私は一日に千五百の産屋を建てよう」
それ以来、日本という国では一日に千人が亡くなり、千五百人が誕生するようになったと古事記では描かれています。日本で初めての夫婦となった伊邪那岐(夫)と伊邪那美(妻)はこの出来事をきっかけに永遠の別れを遂げることになります。これが日本史上初めての「離婚」であったとも言われています。
ちなみにエピソードで現代の我々も注目すべき点は伊邪那美(妻)と伊邪那岐(夫)が発する「愛しき」という台詞だと思っています。これは現代において脚色されたセリフではなく、古事記の原文でも「伊邪那美命言『愛我那勢命・・・』」の「愛」の字に現れているように、古くから書かれている台詞です。
自分の腐乱した姿を夫に見られた伊邪那美(妻)に至っては、殺しても殺し足りないほど夫が憎いと読み取ることが出来ますが、それでは台詞にある「愛しき」とはどのような感情から出た台詞だったのでしょうか?『永遠の別れ』と踏ん切りをつけるためにも思えますが、伊邪那美(妻)は伊邪那岐(夫)と再び会うことが出来ないことを知っていたからではなかったのかと思っています。
自分は黄泉の国から帰ることは出来ないのに、夫が自分のことを思って黄泉の国の入り口まで来てしまった。しかし、夫には国造りという大事な仕事があり、既に死んでしまった自分のことを思っていてはそれが疎かになってしまう。だから敢えて心を鬼にして自分のことを諦めさせるための行動をしたとも解釈できるのです。
しかし、心の底では夫の事を愛しているため、恐ろしい台詞と言う前に「愛しき」という言葉が出たのではないかと思います。伊邪那岐(夫)が置いた大岩の前で伊邪那美(妻)が如何に悲しく、心の強い、しかも愛情に富んだ行動をしたのか、想像するとつい涙腺が緩くなってしまう僕がいるのです。
そんな悲劇の舞台となった黄泉比良坂は人影の少ない山のなかにあり、まるで時間に取り残されたようにひっそりとしています。ここを訪れる人は少なく、訪れるものがいたとしても日本神話のファンか、『あの人に逢いたい』と願う人が来るほどです。
この世とあの世との境界線にある黄泉比良坂の隣には亡くなった人への手紙を投函出来るポスト「天国への手紙」が設置され、年間2000通を越える手紙が投函されます。6月にこれらの手紙を火にくべる「たき上げ」が行われているのも特徴的です。
さて、そんな黄泉比良坂のすぐ近くには揖夜神社(いやじんじゃ)という神社が鎮座しています。この神社のご祭神は日本という国を生んだ伊邪那美(妻)。黄泉比良坂のすぐ近くに鎮座する伊邪那美(妻)を祀る神社だけあって、ここも並々ならぬ雰囲気を持っています。
ちなみに、古事記には先ほどの「黄泉比良坂」を「出雲国の伊賦夜坂(いぶやさか)」であると記述しています。この「いぶや」が「いや」となり、『揖夜神社』という神社の社名にもなっているのです。このことから黄泉比良坂と揖夜神社との深い関係も見て取ることが出来ると思います。
大社造りの質実剛健な社殿に祀られる女神・伊邪那美(妻)。黄泉比良坂で何か感じるものがあった方は是非この神社にも訪れてみてください。
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