0:00 (1)はじめに
0:16 (2)各種の不安障害と治療法
1:12 (3)不安障害は治療しないとどうなる?
1:51 ①軽度の場合
2:25 ②中等度の場合
4:39 ③重度の場合
5:26 (4)重症度ごとの未治療の経過と対処法のまとめ
6:19 (5)まとめ
社会不安障害やパニック障害などが有名な「不安障害」は治療しないとどうなるでしょうか?もし軽度で、不安に慣らす「脱感作」が自然にできる場合は、多くは自然治癒を見込みますが、中等度以上で特に「回避」で表面上安定の場合は、生活への影響などから受診での対応が望まれます。
ご質問「不安障害は治療しないとどうなる?」について、精神科医が7分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
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(1)はじめに
不安障害とは、強烈な不安が継続的に生じることで日常生活にも大きな影響が出る精神疾患です。不安の現れ方や症状が起こる場所などによって細かく分類されますが、治療法には共通点が多くあります。特に注意すべき点は、不安への回避行動が長期的には悪影響をもたらす可能性があることです。
(2)各種の不安障害と治療法
代表的な不安障害には以下の4つがあります。
- **社会不安障害**:人前や対人場面での強い不安
- **パニック障害**:急な心身の不調(パニック発作)を繰り返す
- **全般性不安障害**:様々な事柄に対する慢性的な不安が持続する
- **強迫性障害**:強迫観念と確認行為が特徴的
不安障害の主な治療法は2つあります。
1. **薬物療法**:主に抗うつ薬(SSRI)を継続して服用し、不安の解消を図る
2. **系統的脱感作法**:不安な場面を回避せず、直面して徐々に慣らすことで克服を図る
(3)不安障害は治療しないとどうなる?
不安障害を治療しない場合の経過は、重症度によって大きく異なります。特に重要なポイントは、日常生活の中で不安に慣れる「脱感作」が自然にできるかどうかが経過に大きく影響するということです。
①軽度の場合
軽度の不安障害は、症状や日常生活への影響が比較的少なく、自然な脱感作が可能なケースが多いです。軽度であれば、日常生活の中で自然に脱感作が行われ、その結果として症状が改善する傾向があります。そのため、治療による介入がなくても多くは自然治癒し、生活上の損失も目立ちにくいため、基本的に治療は必要ないと考えられます。
②中等度の場合
中等度の不安障害は、症状の影響は少なくないものの、何とか日常生活を送ることができている状態です。自然な脱感作(慣らすこと)は基本的に困難ですが、回避行動によって表面的には落ち着くことも少なくありません。
中等度では何らかの回避行動が行われ、表面的には生活が可能な場合が多いです。苦手な場面を回避しても必要な活動はある程度可能なため、治療を受ける必要性を自覚しにくい傾向があります。そのため、しばしば治療は行われずに経過します。
しかし、回避と治癒は大きく異なります。症状が表面化しないという点では似ているように見えますが、実際には大きな違いがあります。回避が継続している場合、本来は治療介入が望ましいのです。
回避行動が続くと、以下のような影響が生じます:
- **克服には至らない**:一見回避して症状が目立たなくても、長期間経過後に似た場面に遭遇すると強い不安が再発します
- **生活や活動範囲の制限**:苦手な場面やそれに類似した状況も回避することで、生活範囲が徐々に狭まります
- **社会的な機会損失**:回避のために本来可能だったチャレンジや仕事の機会を逃し、チャンスが制限されます
中等度の場合、受診しないケースが多く一見安定しているように見えますが、実際には社会生活の中で様々な制限が続きます。治療を受けると、特に薬との相性が良い場合は制限がなくなり、最終的には薬の中止も可能になることがあります。そのため、未治療では長期的には損失が大きく、中等度でも受診が望ましいと言えます。
③重度の場合
重度の不安障害は、パニック発作の反復など社会生活に大きな影響が出ている状態です。自然な脱感作はもちろん困難で、回避すら難しく、強い苦痛が持続します。
重度の場合は生活への影響が強く継続するため、速やかな治療介入が必要です。治療を受けなければさらに悪化が続き、様々なトラブルや引きこもりなどに至るリスクが高いため注意が必要です。実際には本人も強い苦痛を感じているため受診につながりやすく、治療によって改善する場合が多いです。
(4)重症度ごとの未治療の経過と対処法のまとめ
軽度の場合
- 自然に「脱感作」が進み、多くの場合は自然治癒する
- 自然治癒を見込んで、まずは受診せず経過観察する
中等度の場合
- 回避行動で対応し、表面的には落ち着く
- しかし、行動や社会活動の制限が続き、実際の損失は大きい
- 緊急性は低いが、受診して治療を受けることが望ましい
重度の場合
- 脱感作も回避も困難で、悪化が続く
- トラブルや引きこもりのリスクが高い
- 強い影響やリスクがあるため、速やかな受診と治療が必須
(5)まとめ
不安障害は薬物療法以外では、不安に慣らす「脱感作」が主な治療法です。この脱感作が自然に行えるかどうかで予後が大きく異なります。
軽度であれば自然な脱感作で改善することが可能で、自然治癒を見込めるため受診は不要です。一方、重度の場合は脱感作が難しく、症状の悪化や強い影響のリスクが高いため、速やかな受診が必要となります。
中等度の場合は脱感作は困難ですが、回避行動はある程度可能です。そのため、一見治療しなくても落ち着いているように見えますが、実際には様々な制限や損失が生じています。表面上は安定していても、治療を受けることで生活の質を向上させることができるため、中等度でも治療を検討することが望ましいでしょう。
こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
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【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。
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